カステヘルミ (④Oiva Toikka Glass and Design part 4)

Oiva Toikka Glass and Designを読み、思ったことや調べたことを書いています。

長いシリーズになると思いますので、気長にお付き合いください😊

間違っている箇所があるかもしれません。ご容赦ください。

前回Oiva Toikka Glass and Design part 3 の続きにもなります。

1963年OivaはラップランドにあるSodankyla高校の美術教師をしていましたが、

Nuutajarviのガラス工場で働くアーティストの募集に応募。高倍率でしたが、見事合格して働き始めました。

Nuutajarviで職を得たことで、OivaはラップランドからNuutajarviへ移住し、奥様のInkeriも再び働くことが出来るようになりました。

OivaはKaj Franckの招きで、ガラス工場のデザインチームに配属されました。

1964年にOivaは「DEW DROP」(カステヘルミ(Kastegelmi))をデザインしました。

今回はカステヘルミについてです。

カステヘルミは我が家でもキャンドルホルダーやプレートを愛用中です🥰

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「DEW DROP」(カステヘルミ(Kastegelmi))シリーズはプレス成形の技法で造られます💠

プレス成形とは

鋳造法を量産化するために開発された技法。原型を金型プレス機で、溶けたガラスに押しつけ成形する技法で、鋳型を壊さないで何度も鋳型を使用できるようにした点が大きな特徴。

鋳造法とは

古くから続くガラス製法技術の1つ。耐火粘土で原型の鋳型を造り、そこに溶けたガラスを流し込みガラスを型になじませ、冷却した後鋳型を壊す技法。鋳型を壊してしまうため、大量生産には向いていません。そのためプレス成形の技術が開発されました。

プレス成形の欠点として、重い・ガラスの継ぎ目のバリ(ガラスが継ぎ目からはみ出た部分)があります。

重いことを解消するため、金型に空洞を造り、またこの空洞(しずく型の装飾)はガラスの継ぎ目の難点を解消する役目を果たしました。カステヘルミをリリースするまでに何回も試行錯誤し、現在の形にたどり着いたようです。

カステヘルミのガラスの美しい装飾は、ただ美しいだけでなく軽量化や難点を解消する目的があったことに驚きました 🫢

Oivaはカステヘルミを造るに当たって、こう語っています。

「ガラスの全行程はチャレンジです。それが人々の注意を喚起し、心を動かすのです。また大量生産されたものは長持ちしなければならない。かつ美しい。使い終わって、それが忘れ去られても、その時は飾りになるように。」

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我が家でも使っていない時でも、光を浴びてキラキラしている姿が好きです。

Kastegelmi(カステヘルミ)の名前

フィンランド語で露のしずくを意味します。朝日を浴びて、まるで連なる真珠のようにきらめく朝露にインスピレーションを得てデザイン・命名されました。Oivaの多くの作品がそうであるように、身の回りの自然からインスピレーションを得たものです。美しい物は身近にあるのですね😊✨

ただ美しいだけでなく、実用的であること、これが現在に至るまで愛されている所以だと思います。

Vintageのカステヘルミ

粒の大きさ(突起)がVintageの方が大きく、より光の反射でよりガラスの輝きが増すように設計されています。2010年から復刻版がリリースされています。Vintageは持っていないのですが、いつかは手にとって見てみたいです✨

最後にカステヘルミ50周年記念のOivaToikkaインタビューの動画です。

フィンランド語でもインタビュー動画ですが、YouTubeの仕様で英語字幕をつけることが可能です。もしも字幕が表示されないときは設定を見てみてください。

youtu.be

動画の最後に、「自身が結婚して51年、カステヘルミの年齢よりそのことが自慢」と笑顔で語っていらっしゃる姿が奥様との仲の良さを伺わせて、ほっこりしました🥰

英語のインタビュー動画もありますが、フィンランド語の方が、よりOivaの素が見える感じがして好きです。

ここまで見て頂き、ありがとうございました。

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Oiva 足跡 年表(自分の備忘録的な目的です)

・1931年 5月29日 Oiva Toikka 誕生

1953年 ヘルシンキ工業大学陶芸学科に入学

・1956年 Nuutajarviの工場で研修生として働く

・1956~1959年 Arabia在籍

・1959年 秋 ヘルシンキの芸術教育学科に入学し、教員資格を取得

・1960~1963年 高校の美術教師

・1963年 Nuutajarviの工場 デザインチームに入職

1964年 カステヘルミ(Kastegelmi)デザイン

 

参考文献

Oiva Toikka Glass and Design 

Table LABO ガラスの技法

バーテック バリについて